エッセイ– tag –
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料理教室のこと
苦味の奥に、まだ知らない味がある。
香りに導かれ、山から海へ 台所で新しい食材と向き合う時間は、少しだけ緊張します。 それは、まだ知らない味との出会いであり、自分自身への問いかけでもあります。 今日は、韓国の海藻「カムテ」との出会いから生まれた、ひとつの試作の記録を綴ります。... -
父として
子どもが親から離れるとき|寂しさと喜びの間で揺れる父親のエッセイ
「明日は家族で大凧合戦観にいこう!」 午前中に息子とそう約束したはずだった。 でも夕方になり、「明日、◯◯くんと遊ぶ約束してきた!」と、まっすぐに僕を見る息子がいる。 約束はあっけなく破られる。 自由な息子は、その時一番楽しいことを最優先する... -
季節と食卓
冷たくて温かい、妻の冷麺
「冷麺って、なんか味がない」そう思ったことはありませんか? 正直、僕もずっとそう感じていました。 最初に韓国で食べた冷麺は、まるで薄まったポカリのように、ほんのり香るだけのスープ。 どこか物足りなくて、この料理に対してあまり良い印象を持って... -
季節と食卓
お弁当をひらく日のこと
料理教室のある日は、妻がお弁当を作ってくれます。 保温ポットに入った、三段のドカベン。 なんだかお弁当が嬉しくて、実は少し早めに昼休みに入るのが習慣になっています。 今日のお弁当は、 ごぼうのピリ辛焼き、ゆで卵、ゆでたブロッコリー。白ごはん... -
料理教室のこと
記憶をたどらなくても、味は帰ってくる
忘れてしまった記憶を、料理がそっと呼び起こすことがある。 この日、妻は延吉の味を思いがけず思い出した。 玄関で息子を見送った朝。 いつものように仕事の話になったのだけど、その日は、妻の声に少し熱がこもっていた。 「日本に来てもう20年以上も経... -
父として
怒ってしまった翌朝に、起きたこと
怒ってしまったあとは、こどもよりも、自分のほうが落ち込んでいることがある。 今回は特に、僕はひどく落ち込んだのだった。 あのとき、あんなふうに言わなくてよかったのに。もう少しだけ、信じて待ってあげればよかったのに。 何度そう思っても、また怒... -
父として
自由な子と、待てない父と
子育てをしていると、「わかってるのに、また怒ってしまった」と思うことがある。 冷静でいたい、優しくしたい、信じて見守りたい─ そう思っているはずなのに、現実はうまくいかない。 どうして、怒ってしまうんだろう。どうして、うまく向き合えないんだ... -
季節と食卓
新じゃがいもの季節に、笑顔がこぼれる食卓
皮がうすく、みずみずしい。この季節だけの新じゃが。 小さな丸いじゃがいもが運んでくる、季節のたより そろそろ、新じゃがの季節です。 皮がやわらかくて、ほんのりと土の香りがして。 台所に立つと春から初夏への移ろいを感じさせてくれます。 いつもな... -
家族の記憶
風邪をひいて気づいた、小さな異変と大きな感謝
風邪の日に、ようやく立ち止まる 両親の来日。大きな寒暖差。母と毎日続いた試作作り。慣れない東京ひとり出張。 最初はいつもの寒暖差アレルギーかな?なんて思っていたのに…。 久しぶりの風邪でした。 熱もなく咳も出ず、くしゃみと鼻水と倦怠感。 「あ... -
家族の記憶
アボジとオモニ、ありがとう─父と母が帰る朝に
誰かを見送る日は、なぜこんなにも空気が静かに感じられるのでしょうか。 忙しかった日々の名残が、ふとした瞬間にこみあげてきて、 あれも話せばよかったな、もっと一緒にいればよかったな と、小さな後悔が優しい感謝に変わっていきます。 今日、私の両...










