エッセイ– tag –
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ゆかりを作る夏、育てられる台所
今日は、今年最後の梅しごと。息子と一緒に「ゆかり」を作りました。 「俺、ゆかり作ってみたかった」そう言った息子のひと言に、私はびっくりして、そして嬉しくなりました。 ジリジリと照りつける夏の太陽のおかげで、赤紫蘇はちょうどよく乾いていて、... -
ツルムラサキが踊りだす台所──夏の匂いと、湯気の中の幸福
外はじりじりと焼けつくような暑さだった。朝から気温はぐんぐん上がり、外に出るだけで肌がぴりぴりと反応する。 けれど、その暑さとは違う、台所の「熱さ」が私は好きだ。窓から入ってくる夏の光を少しだけ取り入れて、程よくクーラーが効いた部屋の中。... -
海がこわいと言っていた息子と、家族で向かった“思い出の海”
「今年の夏は、どこに行きたい?」 すると迷いもなく、「プール行きたい。だって、海こわいんだもん……」と返ってきた息子。 昨年は、何度もレジャープールに通い、波の出るプールや流れるプールではたっぷり遊んでいたけれど、肝心のウォータースライダー... -
ぼくのレシピ、ママとつくる夏休み
息子の夏休みが始まりました。 1ヶ月まるまる家にいるのは、正直とても長い。でも、自由気ままに生きる彼と過ごせるこの1ヶ月は、もしかしたら人生で数えるほどしかない希少な時間なのかもしれません。きっと、気づいた時にはもう、どこか遠くへ行ってし... -
地域に愛されるという、何よりの学び
朝、梨の共同防除のために、地域のメンバーと一緒に機械のオペレーターをしていたときのこと。突然、パジャマ姿の息子が畑にやってきた。 「ゴミ捨てに行ったらさ、大きい音が聞こえてきて。なんか気になって」 僕がいるかどうかなんて関係なく、ただ“気に... -
僕は、その小さなおにぎりに、勝てない。
その日はなぜか朝5時前に、息子がひとりで着替えを済ませてリビングにやってきた。 いつもは僕や妻に起こされて、メガネをはずしたのび太くんみたいな目で、ぼーっとしたまま夢と現実を行ったり来たりしている彼が、なぜかその日だけはシャキッと起きて、... -
それでも、私が料理を教える理由
3年前、ソウルにいる姉と電話で話した。 私が料理教室をはじめようとしていることにふれたとき、姉は少し心配そうな声で言った。 「でもあなた、料理学校も出てないし、有名な料理家のところでアシスタントもしてないでしょ?それに飲食店で修行した経験も... -
僕たちは、もうすでに持っている
先日から、気楽にやっている家族の交換日記。その中に、笑顔の奥に隠れていた妻の本当の言葉が書かれていた。 「集客がなかなかうまくいかなくて、ママは落ち込んでいます」 今日はどんなことが書いてあるのかな…と気軽に見た僕はちょっとドキッとしてしま... -
出前の夜に囲んだ「団欒」の味を、いま台所から
「オモニ、私たちって家族で中国にいる時にチャンポン食べたことありますか?」 そう聞いたとき、母は即答でした。「ないよ。外食なんかしなかったからね」 その一言で、私の記憶がふっとソウルの夜に飛びました。 私が初めて“ちゃんぽん”を食べたのは、ソ... -
梅干しと記憶と、手仕事の朝に
今日も、起きて窓を開けた。しめじめとした梅雨時期の朝の空気が部屋に入り込む。「梅を干すのは、もう少し先かな」そう思いながら、梅酢を一滴垂らした水を一杯。 ほんのりとした酸味と塩気が、汗をかいた身体にすっと染みわたり、「休む」から「目覚める...