料理教室のこと– category –
教える側としての日々の気づき、レッスンでのエピソード、笑いと発見が交差する料理教室の現場から。
家庭の味を伝える中で見えてくる、もうひとつの物語。
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それでも、私が料理を教える理由
3年前、ソウルにいる姉と電話で話した。 私が料理教室をはじめようとしていることにふれたとき、姉は少し心配そうな声で言った。 「でもあなた、料理学校も出てないし、有名な料理家のところでアシスタントもしてないでしょ?それに飲食店で修行した経験も... -
生徒さんの声|台所から届いた、小さな気づきとあたたかい言葉たち
はじめに:ごあいさつ waktak cooking classでは、レッスンのあとに生徒さんへ小さなアンケートをお願いしています。レシピの感想だけでなく、「料理と自分との関係」に起きた静かな変化や、台所で感じたことをことばにしてくださる方が多く、私たちにとっ... -
自宅で作る韓国の夏ごはん|冷麺・オイキムチ・野菜チヂミを手作りで
家庭で本格的な韓国料理を作ってみたい──そんな方に向けて、6月のアトリエレッスン『夏膳(かぜん)』では、韓国の夏を彩る冷麺・オイキムチ・野菜チヂミを、無添加・家庭向けのレシピでお伝えしました。 遠方から横浜よりお越しいただいた生徒さんをはじ... -
子育て中でも、自分に戻れる時間がほしかった|料理教室という小さな逃避行
「わたし、何してたんだっけ?」 これは、waktak cooking classに来てくださったある生徒さんが、帰り際にふと漏らした言葉です。 食べさせて、片付けて、寝かせて、起きて。 今日が火曜か木曜かも曖昧なまま、1日が終わっていく。 それでも家族のために台... -
苦味の奥に、まだ知らない味がある。
香りに導かれ、山から海へ 台所で新しい食材と向き合う時間は、少しだけ緊張します。 それは、まだ知らない味との出会いであり、自分自身への問いかけでもあります。 今日は、韓国の海藻「カムテ」との出会いから生まれた、ひとつの試作の記録を綴ります。... -
記憶をたどらなくても、味は帰ってくる
忘れてしまった記憶を、料理がそっと呼び起こすことがある。 この日、妻は延吉の味を思いがけず思い出した。 玄関で息子を見送った朝。 いつものように仕事の話になったのだけど、その日は、妻の声に少し熱がこもっていた。 「日本に来てもう20年以上も経... -
暮らしのまんなかにある、私のアトリエ
昔ながらの家々が静かに立ち並ぶ、小さな農村の集落。 その真ん中に、私のアトリエ─waktak cooking atelier があります。 住宅を兼ねたこの建物は、自分のアトリエ(クッキングスタジオ)が欲しい、という思いから始まりました。 昔ながらの家を建てたのに... -
電車に揺られて思う、私の帰りたい場所。
はじめての一人旅、深夜バスで東京へ 今日は、東京でのレッスン日です。でもいつもの東京とは、少しだけ違う。 普段は家族と車で向かうところを、今朝は、私ひとりで深夜バスに乗って新宿へやってきました。 というのも、今日は息子の運動会。 本当なら一... -
誰も来なかったらどうしよう─それでも準備をする朝
朝、障子を開けると、空はどんよりとした灰色だった。風も少し冷たくて、こういう日はどうしても、気持ちも重たくなる。 スマホを手にとって、LINEの登録者数を確認して、インスタのリーチをチェックして、それからカレンダーを見る。来週のレッスンは、ま... -
「休まない先生」と呼ばれて─夫だけが知っている、料理教室の舞台裏
─夫である僕から見た、料理教室の舞台裏 彼女は、仕事を休まない。 熱があっても、腰が痛くても、目の下にクマができていても、僕が「今日はやめて寝てなよ」と言っても、「大丈夫」と言って立ち上がる。 「体壊すって」と返すと、ちょっとだけムッとした...
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