「私の大切にしていることを知ってほしい」という想いから、息子には幼少期からコツコツ、韓国に触れさせてきました。

7歳までに韓国へは4回行き、ソウルの空気を吸ってもらいました。
保育園時代には送迎の間やご飯を食べる間に、韓国の童謡やアニメなどを流して耳に触れさせたりして。
そんな中、ほんの数日前、息子に「夕飯何が食べたい?」と聞くと、かえってきた答えは、
「チヂミ!」
「わかったよー。野菜いっぱい入れて焼くね。」と返して、この日は旬の春菊と蓮根のチヂミを作りました。
春菊は【春】の【菊】と書いて春菊ですが、15年近く野菜を育ててきた経験から、断然秋冬の春菊が好みです。
新潟のキリッとした寒さや、程よい湿度のおかげで甘みもあり、瑞々しさも優れていて、この冬の時期、本当に大好きな菜葉です。
その春菊と、夫が大好きな蓮根を合わせて、形を残すスライスと、細かくみじん切りして食感の違いを楽しむ。
包丁で切る作業がこのチヂミの一番のポイント。
春菊の軸は細かく、大きくてみずみずしい葉は自由に伸びてほしいので、4センチほどの長さで大胆に切る。
そこに粉をまぶして、多めの油で焼き上げる。
焼き上げると言うより、むしろ「揚げる」に近いのかもしれません。
私が作るチヂミは、粉を少なくしています。
それは、なるべく野菜を多く食べてほしいのと、野菜の香りや食感を食べる事で、その野菜そのものを理解してほしいという思いもあるからです。
粉が少ない分、お店のものほどカリッとはならないけど、あえてしない部分もあります。
そして、たれも忘れずに。

両面を満遍なく焼き、すぐさま白い皿に盛る。
チヂミは、時間を食べているといってもいいくらい。
私の母は、チヂミが食卓に並ぶ時には座りませんでした。
自分は食べずに、台所に立ち、焼きたてのチヂミを次々に食卓へ運んでくるのです。
そんなことを思い出しながら、我が家の食卓に意識を戻すように息子にこう尋ねます。
「どう?美味しい?」
「美味しいよ。」
「ママ、嬉しい。」
そんな会話が食卓で交わされるのが、本当に嬉しくてたまりません。

小さな農村に住み、
新鮮な野菜を自分でも育て、まわりからお裾分けをいただく。
この素晴らしい命の循環で、ママの大切にしている食文化と想いを少しずつ理解してくれるようになった息子。
それで、私は十分です。









