冷たくて温かい、妻の冷麺

「冷麺って、なんか味がない」
そう思ったことはありませんか?

本場の平壌冷麺、そば粉麺と澄んだスープの一杯

正直、僕もずっとそう感じていました。

最初に韓国で食べた冷麺は、まるで薄まったポカリのように、ほんのり香るだけのスープ。

どこか物足りなくて、この料理に対してあまり良い印象を持っていなかったんです。

でも─
そんな僕に“本当の冷麺”を教えてくれたのは、妻でした。

今日は、そんな「ある一杯の冷麺」にまつわる小さな物語です。


目次

平壌冷麺って本当に美味しいの?

日本人の味覚からすると、本場の平壌冷麺は、率直に言って「味がしない」と思われがちかもしれません。

僕が韓国で初めて食べた冷麺もまさにそんな感じでした。

「これが名物?」

内心、ちょっとがっかりしたのを覚えています。

でも、妻はまるで違いました。

冷麺に対して、まるで別の世界に生きているような熱を持っていて、話し始めると止まらない。

「私の生まれ故郷はね…」から始まり、いつも最後は「故郷の冷麺を食べさせたいなぁ」で締めくくる。

正直、最初はよくわかりませんでした。

“あのぼんやりとした出汁”のために、飛行機を乗り継いでまで行きたいものなのか?

でもある日、妻が言いました。

「来月のレッスンは冷麺にする!」

と、何かを決意したような目で言うのですが、僕は、「地味すぎない?」というのが本音でした。

そこから妻は、何度も何度も冷麺の試作を繰り返しました。

その時は、妻の両親が来日していたので、母と一緒に台所に立ち、彼女たちの記憶の中の冷麺を掘り起こす作業。

僕に入る余地はありません。

スープの調整、麺の選定、具材の温度管理まで、繊細に何度も何度も。

そして、ようやく完成した冷麺を、僕も一口いただきました。

……美味しかった。

平壌冷麺、チヂミ、オイキムチの夏膳を前に箸を取る

義両親が本場から大事に持ってきてくれた黒い麺。
透き通るような出汁。
冷えてもなおジューシーさを保つ牛肉。

たったそれだけなのに、いや、それだけだからこそ、“雑味のない、まっすぐな美味しさ”がそこにはありました。

出汁の味を、本場の冷麺よりも濃くしているのが妻らしい。

添加物は使わず、コトコト牛肉を煮込み、何度も試行錯誤したブレンドで様々な出汁を組み合わせる。

その出汁は、しっかりと味も香りもするのにスッキリと最後の一滴まで飲める一杯。

冷たい冷麺を食べていたのに、とても心が温かくなりました。


今月のレッスンでは、
この冷麺を一緒に作ります。

本場の平壌冷麺の魅力を、一から丁寧にお伝えします。

  • 冷麺の扱い方
  • 透き通るスープのとり方
  • トッピングの温度管理
  • そして、見えない“ふるさとの記憶”の話まで

もし、料理の向こうにある「誰かの人生」に少しでも触れてみたい方がいたら─

この冷たくて、あたたかい一杯を、ぜひ一緒に作ってみませんか。

▶ 今季のレッスンはこちら

冷麺は、きっと“誰かのふるさと”を少しだけ味わう料理なのかもしれません。

白菜キャラ

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この記事を書いた人

高松利行のアバター 高松利行 取締役COO

新潟県新潟市で生まれ、大学卒業後は農協で働く。
そこで出会った農家に憧れて、自身が農家になるため農協を退職。
沖縄の伊江島で住み込みで農業を経験し、新潟に帰り、妻ひかりと新規就農。
農業をしながら、ワクタクのCOOとしてひかりを陰で支える。

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