
今日は、今年最後の梅しごと。
息子と一緒に「ゆかり」を作りました。
「俺、ゆかり作ってみたかった」
そう言った息子のひと言に、私はびっくりして、そして嬉しくなりました。
ジリジリと照りつける夏の太陽のおかげで、赤紫蘇はちょうどよく乾いていて、爽やかな香りがふわっと部屋に広がります。

「これ、細かくするんだよね?」
「どうやってやるの?」
「ハサミでチョキチョキ……」
「そうか、やってみる?!」
そう言って始めたものの、すぐに「これ、いつまでも終わらない……ママも手伝って」とヘルプの声。
「パパが帰ってきたら手伝ってもらおうか」なんて言いながら、ふたりで刻み続けていました。
でも、なかなか終わらない。
そこで私はフードプロセッサーを取り出しました。

「ここに入れて、スイッチ押してごらん」
「これすごい!あっという間に細かくなる!」
道具の力を知って感激している息子。
その顔を見ていると、心がふわりとあたたかくなりました。
味見をして「しょっぱい。でも美味しい」と笑う顔。
硬いものを細かくするには、まずハサミで地道に。
それでも終わらなかったら、人の手を借りて。
それでも足りなければ、道具の力を借りる。
そんな“台所の工夫”を、息子が体験としてちゃんと心に刻んでいたのが嬉しくて、胸がじんわり温かくなりました。

そして最後には「ばーちゃんと、いとこもゆかり好きだから、分けてあげようよ」って。
そのやさしさが、なによりのご褒美でした。
翌朝6時頃。
まだ太陽の光が柔らかく、心地よい夏の陽気のなかで、パパと近所の神社まで散歩に出かけて帰ってきた息子は、朝ごはんの準備。
パパと一緒に味噌汁をつくって、大事そうに両手に抱えて持ってきたのは、昨日つくった自家製のゆかり。

白いご飯にたっぷりとかけて、おかずで用意した卵焼きには見向きもせず、黙々とご飯をかきこむ姿は、なんとも微笑ましく、頼もしくも見えました。
子どもを育てているようで、私も育てられている。
芯のある大人への階段を、一緒に登っているような気がしました。
「また来年もつづけようね」
そう息子と約束をしました。
季節をまたいでも、こうして続いていく台所の記憶があることを、とても幸せに思います。
waktak cooking classより
料理は、誰かと一緒につくると、思い出に変わっていきます。
この「やさしさの時間」をもっと味わいたい方へ、わたしたちの教室もご案内しています。
やさしい台所を、ともに歩む方へ。
