少し早めに仕事を終えた日曜日。
買い物を思い出し、そのことを料理教室を終えたばかりの妻に伝えると、
「お刺身が食べたいからついでに買ってきてもらえる?」
とのことで、ひとりスーパーへ向かいました。
数年前からワイヤレスイヤホンが一般的になり、僕も畑仕事の時はもちろん、ひとりで行動する時には必ずと言っていいほどイヤホンをしています。
けれどその日は、イヤホンの電池が切れてしまい、久しぶりに外の音に耳を澄ませることになりました。
日曜の夕方のスーパーは、家族連れでいっぱい。
イヤホンをしていない僕の耳には、賑やかな音が次々に飛び込んできます。
そんな中で、ひときわ印象的だったのは――赤ちゃんの泣き声。
夕方のスーパーには当たり前のように響いている音なのかもしれません。
けれど久しぶりに聞いたその声は、胸の奥をじんわり熱くさせました。
頭をよぎったのは、もちろん息子の顔。
話せない頃は、泣くことが「ごはんが欲しい」「おむつを替えてほしい」という唯一の手段でした。
でも、今泣くときは決まって「怒られたとき」や「友達と喧嘩したとき」
――マイナスの感情が理由の涙ばかり。
思い返すと、最近見た息子の泣き顔が胸に浮かび、
「もっと耳を傾けてあげられなかったかな」
と、こちらが泣きたくなるような気持ちになりました。
せっかく自分の気持ちを言葉で伝えられるようになった息子。
泣いた顔より、笑っている顔をもっと増やしてあげたい。
息子の名前は「咲多(しょうた)」。
「たくさん笑ってくれますように」との願いを込めて、「笑」と同じ意味を持つ「咲」の字を選びました

その名の通りに生きられるよう、もっと楽しい家庭にしていきたい――。
この子の笑顔をもっと引き出してあげたい。
日曜のスーパーでの小さな体験は、そんな決意を新たにしてくれるものでした。
たまには自分の内側に閉じこもらず、周囲の音や声に耳を澄ませるのも、悪くないものですね。
息子の名前に込めた願いは「たくさん笑ってほしい」ということ。
それは、料理教室やオンラインレッスンでお伝えしている想いとも同じです。
台所で手を動かしながら、家族の笑顔がひとつ増える。
そんな時間を一緒に味わってみませんか?