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新潟市江南区の韓国家庭料理教室|waktak cooking class(ワクタク)
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苦味の奥に、まだ知らない味がある。

2025 6/11
目次

香りに導かれ、山から海へ

台所で新しい食材と向き合う時間は、少しだけ緊張します。

それは、まだ知らない味との出会いであり、自分自身への問いかけでもあります。

今日は、韓国の海藻「カムテ」との出会いから生まれた、ひとつの試作の記録を綴ります。


カムテという名の、静かな海藻

その海藻を初めて手に取ったとき、なぜか直感で「豆乳に合うかもしれない」と思いました。

韓国の海藻、カムテ。
とても繊細でふわふわしているカムテ。

韓国では감태(カムテ)と呼ばれる、深い緑色の海藻です。
日本では「カジメ」や「甘苔」とも呼ばれるようで、焼き海苔に似ているけど、もっと繊細で、ふわりと軽やか。
乾いた状態ではほんのりと磯の香りが漂い、水に戻すと、その香りは一気に膨らんで、まるでこちらに語りかけてくるような力を持っています。

その日は、豆乳スープにそうめんを合わせ、「コングクス風」に仕立ててみました。

白いスープにカムテを少しずつ溶かしていくと、静かな海のような色に変わっていきます。

まずはシンプルに。そこから知恵とひらめきを加える。

見た目はとても美しい仕上がりでした。

けれど、ひとくち味見をした瞬間、思わず「うーん」と唸ってしまいました。

香りはとても良いのですが、どうしても苦味が立ってしまうのです。
スープのやさしさを突き破るようなその苦味は、口の中にざらっとした異物感を残しました。


「問い」から始まる、台所の時間

それでも、「だめだった」と簡単に片付けることはできませんでした。
むしろ、「どうしたらこの苦味を活かせるのだろう」と考えることで、台所の時間がようやく始まったような気がしたのです。

料理を教えるようになってから、「答えを持っていること」が求められる場面が増えました。

「これは何分煮ればいいですか?」
「何に合いますか?」
「代用できる調味料は?」——

そうした問いに、できるだけ丁寧に、正確にお応えするように心がけています。

けれど、心のどこかで思うのです。
本当に大切なのは、「問いを持ち続けること」なのではないか、と。

素材と向き合うとき、いつも小さな違和感がヒントになります。

「この苦味は、失敗なのか?」 
「それとも、これこそがカムテなのか?」

そんな問いを自分の中に育てていくことが、私の料理の核であり続けています。


答えのないレシピと、余白のある料理

カムテの苦味を無理に消そうとすると、たいてい失敗します。
豆乳のまろやかさで包もうとすれば、逆に香りが強く立ってしまうこともあります。
ならば、苦味を苦味のまま立たせて、どうバランスを取るか。

そう考えながら、いくつかの組み合わせを試してみたくなりました。

しらすの塩気を添えてみる。
香りを重ねてみる。
あるいは牛肉と合わせてみる…。

答えは、まだ出ていません。
けれど、そこにこそ私の料理の「芯」があるように感じます。

素材を料理として完成させるまでのこの「間(ま)」を、私はとても愛しています。


料理にも、人生にも、余白があっていい

以前、教室に通ってくださっている常連の生徒さんが、こんなことを言ってくださいました。

「ひかり先生の料理、最近韓国料理っぽくなくなってきましたよね」

その言葉が、ずっと心に残っています。

今までは韓国料理を作ろうと頑張ってきた私でしたが(もちろん今でもそうですが)、最近では自分の料理を作ってみようと思うようになりました。

きっと私の体の中には、韓国料理の基本が詰まっていて、私が自由に作る料理の中には、ちゃんと韓国料理があるのでは?と。

教室でお出しした副菜。豆と松の実ソース。

完璧で整ったものよりも、少し未完成で、少し余白のあるもの。
そこには、食べる人自身の記憶や想像が入りこむ余地がある。

それは、料理だけでなく、生き方そのものにも似ている気がするのです。

料理教室を始めたばかりの頃は、「ちゃんと教えなければ」と思っていました。
レシピ通りに作れて、失敗せずに仕上げられるように導くことが大切だと。

でも今は少し違います。
私は、生徒さんに「正解」を渡すのではなく、
「まだ知らない味に出会う楽しさ」や、「素材と対話する力」を届けたいと思っています。

その力があれば、どんな素材に出会っても、自分自身で料理を育てていけるからです。

魚を渡すよりも、魚の釣り方を教える方が、後で困らない。
そこには食べる楽しみのほかに、釣る楽しみ、作る楽しみも加わります。

料理教室もそんな場所になればと、いつも思っています。


苦味の奥に、まだ知らない味がある

韓国の姉から送られてきたカムテ。

今回のカムテの試作も、まだ途中です。
苦味はまだ強く、試作は続いています。
けれど、それでいいのだと思っています。

料理はきっと、完成させるためだけのものではありません。
素材と向き合いながら、自分自身とも向き合っていくものだからです。

そしてまた今日も、台所に立ちます。
香りの奥に、まだ知らない味があることを信じて。


次回のレッスンでは、こんな「問い」から生まれた料理も登場するかもしれません。

副菜については、私もまだ何を作るかわかりません。
教えてくれるのは、春の食材たち。

その「答え合わせ」を一緒にしませんか?

▶︎募集中のレッスン詳細はこちらです。

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ひかり
waktak cooking class 講師
中国・延吉で育ち、季節の野菜と韓国の家庭料理に囲まれて育ちました。
「誰かを思って作るごはん」を大切に、日々のレッスンや発信を続けています。
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