モドゥムジョン

ジョンはいつも食卓に並ぶ。


ズッキーニのジョンにトウモロコシのジョン、
ジャガイモのジョンに白菜のジョン。

ジョンはとてもとても庶民的、かつ季節を最大限に感じられる料理だ。

それでもハレの日のジョンはひと味違う。

カラフルな「オミサンジョン」やお肉のジョンまで。
この日ばかりは、庶民的なジョンが高級料理に変わるのだ。

子どもの頃は、普段食べられないこのようなジョンたちに心が踊ったものだ。

これがハレの日料理のマジックだ。
人の心を躍らせる力を持っている。

小さい頃から、私の役割は「食べる人」
いつも、いそいそと手間のかかるジョンを作るのは母と姉だった。

姉は未だに私に会うとこういうのだ。
「あんたが料理するなんて信じられない。」

それでも私は今、料理教室の先生をしている。

小さい頃からの食の記憶というものはとても強く残っているものだ。
あの頃食べた、あのジョンたちの味とビジュアルは鮮明に覚えている。

今度は、私が「作る人」になろう。

私にも、「食べる人」ができたのだ。
幸せなことじゃないか。

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この記事を書いた人

ひかりのアバター ひかり 代表取締役CEO

中国吉林省の朝鮮族の家庭に生まれる。
20歳に日本語を学ぶために来日。
日本語学校を経て大学を卒業後、家電メーカーショールームアテンダントとして働いたのち、夫の高松と共に新規就農。
こどもが生まれたことをきっかけに、キムチ作りを始め、故郷の家庭料理を広く伝えるキッチンカー、料理教室を開始。
今では全国を回って料理を伝えている。

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