
はじめての精進ダイニング、そのきっかけ
10月10日、新潟・長徳寺にて、季節の収穫に感謝を込めて「韓国精進料理ダイニング」を開催しました。
料理教室としてイベントやレッスンを続けてきた私たちですが、料理だけでなく“食の時間”そのものを丁寧に味わっていただける場を作りたいという思いがかたちになった、初めての試みです。
動物性・卵・乳製品不使用。韓国精進料理の献立
この日の料理は、すべて動物性の食材や調味料を使わない「精進料理」で構成しました。
韓国料理では“ナムル”や“キムチ”といった野菜の副菜が豊富で、精進スタイルとも親和性が高いのが特徴です。

今回お出ししたのは、ナムル、キムチ、揚げ物、ご飯とスープ、海苔など韓国料理の基本となる献立を再度見直し試作を重ねた料理です。
いずれも出汁・発酵・素材の香りを最大限に生かした味わいで、どれも「これ本当に精進料理?」という驚きの声をいただきました。
精進料理の精神「五観の偈」とは?
このダイニングのベースとなったのが、韓国の禅寺で食事の前に唱えられる「五観の偈(오관게)」という言葉です。
一、この食事がどこから来たのかを思う
二、自らの行いがこの食に値するかを省みる
三、心の迷いを除く薬としていただく
四、身を正し心を鎮めていただく
五、成道のためこの食をいただく
この言葉に込められた精神性は、「いただきます」という言葉以上に、食と向き合う姿勢を丁寧に教えてくれます。 私たちが今回の献立を考えるうえでも、この五観の偈を軸に構成しました。
感想のひとつひとつが、継続の盾に
イベント中、参加された方から「野菜だけなのに満足感がすごい」「精進料理ってこんなにおいしいんですね」といった声を多数いただきました。
中でも印象に残ったのが、こんな言葉です。
「また来たいです。このごはんを食べると、背筋がすっと伸びる気がします」
私たちがこれまでやってきたことが、静かに誰かの心と体に届いている。
その確かな手応えが、これから続けていく勇気になりました。
ご協力いただいた皆さまへ
今回の開催にあたり、新発田の長徳寺さま(@choutokuji.shibata)のご厚意により本堂をお借りし、 また、空間演出には、letter from the field の さゆりさん(@letter_fromthefield)のご協力をいただきました。 この場を借りて、心より感謝申し上げます。
食べるということ。それは暮らしの芯になるもの。
料理は、栄養でもあり、文化でもあり、日々の心を整える小さな儀式でもあります。 それを改めて実感できたのが、今回の「精進ダイニング」でした。
またこの秋のように、実りを感じながら、 大切に食べることと向き合える場をつくっていきたいと思います。
















