MENU
  • home
  • blog
  • lesson
  • Online shop
  • contact
新潟市江南区の韓国家庭料理教室|waktak cooking class(ワクタク)
  • home
  • blog
  • lesson
  • Online shop
  • contact
  • home
  • blog
  • lesson
  • Online shop
  • contact
新潟市江南区の韓国家庭料理教室|waktak cooking class(ワクタク)
  • home
  • blog
  • lesson
  • Online shop
  • contact
  1. ホーム
  2. waktakの日々
  3. 家族の記憶
  4. 母の饅頭、想像の味。

母の饅頭、想像の味。

2025 5/17

「お母さんの料理、最後に一緒に作ったのはいつですか?」

そんな問いかけに、少し戸惑ってしまう人もいるかもしれません。
私も、つい最近まで思い出せませんでした。

でも今日は、母と一緒に饅頭を作りました。


目次

目分量と「大丈夫」のあいだ

両親は今、二人暮らし。
中国の故郷では毎朝、饅頭とお粥、そして搾菜を一緒に食べているそうです。

私も母に習ってその饅頭を作ってみることにしました。

「中力粉が一番いいよ」
と、父がぽつりとアドバイス。

そして母は、なんのためらいもなく、目分量でイースト菌を投入。
「ちょっと、それ大丈夫ですか…?」
思わず何度も聞いてしまった私に、母は笑って言いました。

「体で覚えてるから、大丈夫」

それはどこか、信仰にも似た安心感がある言葉でした。
私はまだ、すぐにレシピを確認しようとするけれど、母は自分の手と記憶を信じている。

この差がきっと年月なのだろうなと思います。


塩も砂糖も「いらないよ」

「塩と砂糖、入れた方がよくない?」
と私が言うと、母はきっぱりと首を横に振りました。

「搾菜があるでしょ。あれがあるから、調味料はいらないの」

私にとっては、味付けのない饅頭というのは少し不思議な感じ。
でも母にとっては、それがいつもの味、いつもの朝。
具を入れるでもなく、何かを飾るわけでもなく、ただただ粉と水と酵母でできた饅頭。

「それでいいんだよ」
母の声には、どこか哲学のような重みがありました。


発酵の時間と、記憶の時間

一次発酵は3時間。
「えっ、そんなに!?」と私が驚くと、母は笑いながら「それが普通だよ」と言いました。

時間をかけて膨らんでいく生地。
ふっくらとした姿になった頃、母と一緒にそっとガスを抜きました。

「2次発酵は…」
と聞く私に、「だいたいこのくらい」とまた目分量。

「均等にしなくていいの?」
「ラードは使わないの?」

私の頭の中の常識が、どんどん母の言葉で壊されていきます。
でもそのたびに、不思議とワクワクしている自分がいました。


蒸し器から立ちのぼる湯気と、母の手の味

「蒸し器には、水から入れるんだよ」
と母が言いました。
それも私にとっては新しい知識。

火を入れてから15分、そして5分休ませて蒸し器の蓋を開けたとき、
そこにはふわっと膨らんだ、ころんと可愛らしい饅頭たち。

湯気の向こうに、昔の母の手元が重なります。

ひと口食べるとそれはもう、言葉にできないくらい懐かしく、温かい味。
噛めば噛むほど胸がいっぱいになるあの食感。

「母の味ってこういうことか」
と、心の中でそっとつぶやきました。


具がないから、想像できる味がある

その饅頭には具がありません。
ただの「生地だけの蒸しパン」。
でも、搾菜と一緒に食べると、ちゃんと「食事」になる。

何より驚いたのは、具がないからこそ、たくさんの味を想像できたこと。

噛んだときに感じる香り、もちもちとした食感、じんわりと広がる小麦の甘さ。
すべてが母の手のひらから生まれた味でした。


レシピにはない、記憶の継承

コンビニの肉まんとはまったく違う。
いや、比べることすらできない。

そこにあるのは、調味料でも技術でもなく、「誰かのために」という手の記憶。
だからこそ、こんなにも心に残るのかもしれません。

私は今日、母の饅頭を一緒に作ってみて改めて思いました。
この手から生まれる味を、少しずつでも受け継いでいきたいと。

「次は、あなた一人で作ってみなさい」
母がそう言った時、私はちょっと背筋を伸ばしました。

そしてそっと、母と同じように中力粉を手に取りました。


家庭料理に宿る「伝える力」

料理って、誰かに伝えることそのものだと思います。
それはレシピだけではなく、その人の経験や勘、そして何より「想い」。

今回の母との饅頭づくりは、ただの料理ではなく、手の記憶の継承でした。

料理教室では、きっちりと計量しながら教える私ですが、
その奥にある「目分量の愛情」も、大切に伝えていけたらと思っています。

そんな「想いのある料理」を、教室でもひとつずつ丁寧にお伝えしています。

今、季節のレッスンを募集しています。

▶ 詳細はこちらからご覧ください

あわせて読みたい
今季のレッスンとご案内 季節の食材や、ひかりの記憶から生まれた韓国家庭料理。現在お申込み受付中のレッスン情報をまとめました。対面・オンライン、それぞれの形で、あなたの食卓にお届けし…

両親との暮らしの中で、私はたくさんの学びがありました。

▶︎そんなことをそっと綴っています。

あわせて読みたい
料理教室とは、“教える”ことじゃなかった。母とキッチンに立って気づいた、本当の学び 母とキッチンに立って気づいた、本当の学び 「料理教室って、なんのためにあるの?」 そう聞かれたら私は迷わずこう答えます。 「知恵をそっと共有する場所なんです」と…
あわせて読みたい
レシピ通りじゃない「おいしさ」を、教えるということ 「料理って、どうして人によって味が違うんだろう?」 そんなふうに思ったこと、ありませんか? 同じレシピなのに、誰かの手でつくると、なぜかほっとする味になる── 今…
白菜キャラ

LINEで、3日間の無料体験実施中!

季節の副菜レシピや
やさしい台所の物語を
そっとお届けしています。
LINE限定レッスンや先行予約もこちらから。

LINEで受け取る
waktakの日々 家族の記憶
韓国料理
  • ニンニク忘れと、やさしい始まり
  • 失敗から生まれるやさしい味|母と挑んだペクソルギ

関連記事

  • 赤ちゃんの泣き声に立ち止まった日|息子の名前に込めた願い
  • ニラと共に歩んだ私の暮らし|食卓と人生を支えてくれた野菜
  • お盆を前に、命のことを考える。
  • 見た草が、花になるとき
  • ゆかりを作る夏、育てられる台所
  • ツルムラサキが踊りだす台所──夏の匂いと、湯気の中の幸福
  • 海がこわいと言っていた息子と、家族で向かった“思い出の海”
  • ぼくのレシピ、ママとつくる夏休み
ひかり
waktak cooking class 講師
中国・延吉で育ち、季節の野菜と韓国の家庭料理に囲まれて育ちました。
「誰かを思って作るごはん」を大切に、日々のレッスンや発信を続けています。
LINEでお便りを受け取る
最新記事
  • 赤ちゃんの泣き声に立ち止まった日|息子の名前に込めた願い
  • ニラと共に歩んだ私の暮らし|食卓と人生を支えてくれた野菜
  • 9月のレッスンご案内
  • お盆を前に、命のことを考える。
  • 見た草が、花になるとき
  • 特定商取引法に基づく表記
  • プライバシーポリシー
  • 利用規約・キャンセルポリシー
  • 会社概要
  • お問い合わせ
  • 季節のレッスン

© waktak

目次