「いつか」の気持ちに、手を添えて

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― 家族のための手打ち麺、カルグクスという答え ―

「いつか家族に、手作りの麺を打ってあげたい」

そんなふうに思ったのは、もう何年も前のことでした。
でも、「粉から打つなんて難しそう」とか、「時間があるときに」とか、いろんな言い訳をしているうちに、
その“いつか”は、ずっと先のことのようになっていました。


その“いつか”が、やっと「今」になった日

ある日、ふとした拍子に、その気持ちが戻ってきました。
家族が「麺料理って、やっぱり落ち着くよね」と言った一言に、
「そうだ、あの“いつか”を、今日にしよう」と思えたのです。

そして打ったのが、韓国の手打ちうどん、カルグクス

手のひらで粉をまとめて、何度もこねて、しばらく寝かせて。
包丁で切るときは、「細すぎても太すぎても…」なんて迷いながら。
台所に、粉の匂いと静かな緊張が漂っていました。


切ったばかりの麺は、生きているようだった

茹でたての麺は、湯気の中でゆらゆらしていて、
まるで「ここにいるよ」とでも言いたげな、やさしい存在感でした。

家族に出すと、目をまんまるにして
「これ、手打ちなの? すごいね」と。

その反応に、照れくさくて「うん、まあ」とだけ答えながら、
実はこっそり、胸の奥がじんわりしていたのです。


「時間がかかる料理」は、贈りものになる

手打ち麺は、正直、少しだけ手間がかかります。
でも、その“かかった時間”が、そのまま愛情のかたちになる気がしています。

いつか、と思っていたことに、
思いきって手を添えることで、
暮らしは少しだけ、あたたかくなる。

カルグクスは、私にそんなことを教えてくれた料理でした。


追伸|「はじめての手打ち麺」は、カルグクスから

うちの家族が好きな麺料理はたくさんありますが、
粉からつくる“やさしい韓国うどん”カルグクスは、特別な一皿になりました。

「いつかやってみたい」と思っていた方がいたら、
ぜひ、このタイミングで「今」に変えてみてください。

粉と水が、少しずつかたちになっていくあの時間。
とても静かで、とても幸せな時間です。

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この記事を書いた人

ひかりのアバター ひかり waktak cooking class講師

ひかり
韓国家庭料理教室「waktak cooking class」主宰。
中国東北部・朝鮮族の家庭で育ち、祖母や母から“家庭の味”の奥深さを学びました。

いまは新潟で、小さな台所から料理の記憶を伝えています。
香りや湯気とともに、記憶に残る家庭を、もう一度つくるように。

レッスンのことや日々の気づきは、InstagramやLINEでもお届けしています。

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