「ママァ〜、ママァ〜?」が、
優しく聞こえる日まで。
5月に入ってから、私は一度も休んでいない気がしている。
いつもより早く目が覚めるのは、心が休まっていない証拠かもしれない。
体内時計より早く起き、まだ薄暗い部屋で目が覚め、しばらくぼんやりと天井を見つめるもなく、すぐに着替えて動き始める。
朝6時頃になると、ぱたぱたと小さな足音が近づいてくる。
「ママァ〜、ママァ〜?」
この声を、毎日何百回、いや、何千回と聞いている気がする。
息子が甘えてくれるのは嬉しい。
だけど、正直に言えば、この言葉にイライラしてしまう日もある。
「気を遣う」という名のタスク

5月の初め、両親が来日した。
コロナ禍をはさみ、なんと5年ぶり。
加えて、姉と姪も一緒に来て、我が家は一時“簡易民宿”と化した。
懐かしさよりも、まずは“ホスト役”としてのスイッチが入る。
姉と姪には新潟を楽しんでもらいたくて、私が運転する車で観光名所をめぐる。
姉を新幹線の改札で見送ったその日から、今度は両親との日々が始まった。
久しぶりに会う両親は、想像以上に歳を重ねていて身動きが鈍い。
母は耳が遠くなり、手の動きも悪く、茶碗洗いもままならない。
頑固だった父は、前にも増して頑固になった。
何度も繰り返す説明、時間が読めなくなった行動、会話のすれ違い。
家族とはいえ、同じリズムでは暮らせない。
その合間にも、新しいレシピづくり、レッスン準備、そして教室本番。
私は息をつく間もなく動いていた。
「ごめんね」のその先で
そんな中での、あの「ママァ〜?」連呼は、正直キツかった。
息子の問いかけは、純粋で、何の裏もない。
でも、私のキャパはとうに限界を超えていて、つい語気が強くなってしまうこともある。
「もう、ちょっと静かにして!」
叫んだあとふと見れば、息子はしょんぼりしている。
あぁ、またやってしまった。
そう思いながら、寝かしつけのとき、ぎゅっと抱きしめる。
息子の頭の匂いは、いつもどこか懐かしく疲れた体と精神を癒してくれる。
「ママ、さっき怒ってごめんね」
「いいよ。ママ、疲れてたんでしょ」
そう言って小さな手で背中をポンポンしてくれる息子に、私の心はやっと静まる。
「座って食べるごはん」で、
やっと自分を取り戻す
1日2回、「あぁ、やっと座れた」と言ってしまう毎日。
それでも台所には立つ。
にんにくを刻む音、ごま油の香り、チヂミが焼ける音。
料理は、心の波を静める儀式のようだ。
ある日、冷麺のスープを作っていた。

氷を入れて冷たく冷やしたスープに、硬く茹でた卵を浮かべる。
その透き通った汁を口に含んだ瞬間、体の奥から静かに整っていくような感覚があった。
食べるって、ただ栄養を摂るだけじゃない。
料理って、ただ作業をこなすだけじゃない。
台所の時間は、私自身を取り戻すための、静かな逃げ場所なのかもしれない。

あなたにも届けたい、そんな時間
誰かのために料理をし続ける日々に、疲れてしまうこともある。
だけど、そんなあなたにこそ、伝えたい味がある。
6月のwaktak cooking classでは、夏のはじまりを感じる韓国家庭料理をご一緒します。

- 野菜チヂミ:カリッ香ばしく、やさしい旨み
- 平壌冷麺:透き通るスープとしなやかな麺
- オイキムチ:爽やかな辛さと発酵の奥行き
育児や家事に追われる日々の中、ほんの数時間、自分のために料理と向き合う時間を。
【6月レッスンのご案内】

- 開催日時:カレンダーをご覧ください。
- 場所:新潟市江南区
- 参加費:8,800円(税込)
- レシピ冊子をお渡し
👉 詳細はこちら

息子が「ママァ〜」と呼ぶ声を、もっとやさしく聞けるように。 そのために、まずは自分を、すこしだけ整えてみませんか?
今すぐ申込みたい場合はこちら↓