
キムチといえば白菜。
そんなイメージが強いかもしれませんが、私にとっての原点はカクテキです。
参鶏湯とカクテキ、その汁まで使い切る台所の風景——
今日はそんな、わが家の「季節ごはん」を通じて見えてくる記憶と、家庭料理の力について、少しだけお話させてください。
キムチの汁まで味わう、本場の食卓
白菜キムチとカクテキとでは塩漬けからヤンニョムまで、全てが違います。
白菜キムチは辛口。
カクテキは甘口。
そんなイメージが一番わかりやすいと思うのですが、これはなぜか私が幼少期の頃から“決まっていたもの”として、私の体の中に根付いているものです。
「参鶏湯にはカクテキだよ。」
「キムチはやっぱりチゲだね。」
同じ「キムチ」という括りの中でも、それらは別々の役割を持っているのが、キムチの面白いところです。
そして、キムチから出てくる「汁」も全て味わうのが本場のキムチの楽しみ方だということ。
これは当たり前だと思っていたのですが、日本に来てその汁はただの“ゴミ”と化していることにとてもショックを受けました。
参鶏湯を最後の一滴まで楽しむということ

参鶏湯を食べる時、まずはそのまま主役の鶏肉を食べながら、合間にカクテキを食べます。
箸休めみたいなものですね。
そして、あらかた参鶏湯の具を食べ終えたところで、カクテキの汁を参鶏湯のスープに入れる。
滋味深い薬膳スープが、一気に攻撃的なスープに変わる瞬間です。
具を食べて、鶏の骨も全て取り除いたそこに、カクテキの汁を入れて…
最後に、ほかほかの白いご飯を入れる。
あぁ、こんな幸せなご飯はあるでしょうか。
鶏から出た出汁に、薬膳の香り。
そこにカクテキの甘辛い汁を入れて、”チゲ”に変わったスープにご飯を入れる。
ラーメンの汁にご飯を入れるような背徳感。
でもそんなことはお構いなし。
だって、参鶏湯って1年のうちにそんなに食べられるものじゃないでしょ?
たまにはそんな背徳感も味わえる。
それがまた、幸せにつながっていきます。
「いつか作りたい」ではなく、「いま作れる」に変える

「作ろう」と思った時に作れること。
それが家庭料理にとってはとても大きな武器になるのだと思います。
夏が近づいてきたら、参鶏湯の準備を始める。
- 薬膳やカクテキの材料を揃えておく。
- 今年の伏日(韓国の土用の丑の日)はいつかな?と検索してみる。
- その日に合わせて少しずつ、ご馳走の準備をする。
その全てが、忙しい日常にやる気をみなぎらせてくれます。
▶︎伏日についてはこちらで詳しく書いています

ハレの日の準備が、私の心を整えてくれる

何だか、誰かの誕生日をお祝いするみたいな感覚で、ワクワクしながらスーパーに買い物に行って台所に立つ。
少し手間はかかるけど、それでいい。
だって、ハレの日のお食事だもの。
少しだけ手間をかけて、少しだけ丁寧に。
そうやって台所に立つ時間は、「忙しい」ではなくて、心を整えてくれる時間になるのだと思います。
今回ご紹介した「カクテキ」は、7月のレッスンで学べます

- 新潟アトリエ 7月:『養生』
参鶏湯とカクテキをテーマに、薬膳の考え方も取り入れたレッスンです。
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