waktakの日々– category –
新潟発・韓国家庭料理教室「waktak」の日常を綴るブログ。
季節の食卓、母から受け継いだ味、レッスンの裏側、小さな気づきや想いを、物語のようにお届けします。
料理を通じて、誰かを思うやさしさが広がりますように。
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記憶をたどらなくても、味は帰ってくる
忘れてしまった記憶を、料理がそっと呼び起こすことがある。 この日、妻は延吉の味を思いがけず思い出した。 玄関で息子を見送った朝。 いつものように仕事の話になったのだけど、その日は、妻の声に少し熱がこもっていた。 「日本に来てもう20年以上も経... -
怒ってしまった翌朝に、起きたこと
怒ってしまったあとは、こどもよりも、自分のほうが落ち込んでいることがある。 今回は特に、僕はひどく落ち込んだのだった。 あのとき、あんなふうに言わなくてよかったのに。もう少しだけ、信じて待ってあげればよかったのに。 何度そう思っても、また怒... -
自由な子と、待てない父と
子育てをしていると、「わかってるのに、また怒ってしまった」と思うことがある。 冷静でいたい、優しくしたい、信じて見守りたい─ そう思っているはずなのに、現実はうまくいかない。 どうして、怒ってしまうんだろう。どうして、うまく向き合えないんだ... -
新じゃがいもの季節に、笑顔がこぼれる食卓
皮がうすく、みずみずしい。この季節だけの新じゃが。 小さな丸いじゃがいもが運んでくる、季節のたより そろそろ、新じゃがの季節です。 皮がやわらかくて、ほんのりと土の香りがして。 台所に立つと春から初夏への移ろいを感じさせてくれます。 いつもな... -
風邪をひいて気づいた、小さな異変と大きな感謝
風邪の日に、ようやく立ち止まる 両親の来日。大きな寒暖差。母と毎日続いた試作作り。慣れない東京ひとり出張。 最初はいつもの寒暖差アレルギーかな?なんて思っていたのに…。 久しぶりの風邪でした。 熱もなく咳も出ず、くしゃみと鼻水と倦怠感。 「あ... -
アボジとオモニ、ありがとう─父と母が帰る朝に
誰かを見送る日は、なぜこんなにも空気が静かに感じられるのでしょうか。 忙しかった日々の名残が、ふとした瞬間にこみあげてきて、 あれも話せばよかったな、もっと一緒にいればよかったな と、小さな後悔が優しい感謝に変わっていきます。 今日、私の両... -
韓国精進料理と延吉の野菜の記憶
韓国の精進料理(사찰음식)は、野菜の持ち味を最大限に引き出す伝統的な料理です。本記事では、中国・延吉で育った私の食の原風景と、韓国精進料理との出会い、そして新潟での活動を通して感じた「自然とつながる料理」の魅力をお伝えします。精進料理に... -
おこげとお茶漬けがつなぐ記憶
朝、少しだけ冷えた台所で、ふと湯気の立つお茶漬けが恋しくなるとき、ありませんか? 忙しい日でも、心を整えてくれるのは案外こんな“なんでもない料理”だったりするものです。 わたしが日本に来たばかりのころ、不思議なくらいお茶漬けに惹かれました。 ... -
暮らしのまんなかにある、私のアトリエ
昔ながらの家々が静かに立ち並ぶ、小さな農村の集落。 その真ん中に、私のアトリエ─waktak cooking atelier があります。 住宅を兼ねたこの建物は、自分のアトリエ(クッキングスタジオ)が欲しい、という思いから始まりました。 昔ながらの家を建てたのに... -
電車に揺られて思う、私の帰りたい場所。
はじめての一人旅、深夜バスで東京へ 今日は、東京でのレッスン日です。でもいつもの東京とは、少しだけ違う。 普段は家族と車で向かうところを、今朝は、私ひとりで深夜バスに乗って新宿へやってきました。 というのも、今日は息子の運動会。 本当なら一...