waktakの日々– category –
新潟発・韓国家庭料理教室「waktak」の日常を綴るブログ。
季節の食卓、母から受け継いだ味、レッスンの裏側、小さな気づきや想いを、物語のようにお届けします。
料理を通じて、誰かを思うやさしさが広がりますように。
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平壌冷麺の静けさに、わたしを重ねる午後
涼やかな午後に寄り添うひと皿の静けさ 冷たい麺に澄んだスープをそっと注いだとき。その静けさに、胸の奥がすっと整っていくような気がすることがあります。 平壌冷麺は、にぎやかさとは無縁の料理です。 スープも、具材も、語りすぎない。けれど、そっと... -
キッチンに立つ時間が、わたしの軸になる
わたしが落ち着くのは台所に立っている時 家の中で、どこが一番落ち着く場所ですか?リビング?ベッドルーム?それとも、お風呂? わたしにとっては「台所」です。 まな板に包丁を当てる音、お湯がふつふつと沸く音、野菜を炒めたときの香ばしい匂い─すべ... -
オイキムチとは?韓国家庭に伝わる、きゅうりのキムチの話
「オイキムチって、どんな味?どうやって作るの?」そんなふうに気になって、このページに辿り着いた方へ。 オイキムチとは、きゅうりに香味野菜と辛味調味料(ヤンニョム)を詰めて漬け込んだ、韓国の伝統的なキムチの一種です。ほんのり甘くて、さっぱり... -
韓国の“常備菜”は、家族をつなぐ準備
冷蔵庫に並ぶ小皿は、思いやりの記録 韓国の家庭料理には、小さなおかずがいくつも並びます。 それは「たくさん作る」のではなく、「少しずつ作って、少しずつ残す」文化。 キムチ、ナムル、炒め物……冷蔵庫の中にびんやタッパーがいくつもあって、今日の食... -
“家庭料理”って、ほんとはすごいこと
台所で起きていることはただの「作業」じゃない 買い物に行って、冷蔵庫をのぞいて、今ある材料でごはんを作る。 誰かが帰ってくる時間を思い浮かべて、「今日は何を食べたいかな」と考えて。できた料理をテーブルに並べる。 それは、見た目にはただの“ル... -
香りは記憶に一番近い調味料
火を入れた瞬間に、思い出が立ち上がる 強火で熱した鍋に、ごま油を落とした瞬間。ぱちっと音がしてふわっと香りが立ちのぼる。 目の前にあるのは、ただの野菜かもしれない。 でもその香りは、子どものころの食卓や台所に立つ母の背中、「早く座りなさい」... -
料理は、母語に似ている
料理ってどうやって身につくと思いますか? 学校で習うように、ノートに書いて覚えるものでも、正解があるものでもない。 きっと私たちは、 台所から聞こえてきた包丁の音、すっと立ちのぼる湯気の匂い、誰かの背中や手の動き そんなことから、少しずつ “... -
キムチは保存食ではなく、家庭の手紙だった
あなたにとってキムチとはどんな存在ですか? 食卓の定番、発酵食品、季節の味。 どれも正解だけれど、私にとってキムチは、母から届く“言葉のいらない手紙”のようなものでした。 寒くなる季節に、そっと心を温めてくれるその味を、今日はひとつの思い出と... -
遅めの唐辛子葉のナムル
― 季節のはざまに届いた、母からの手しごと ― 今年の唐辛子葉は、少し遅れて届きました。 例年なら、夏の終わりから初秋にかけて摘まれるはずの若葉たちが、今年は秋風が吹いてからようやくやってきたのです。 葉の色はいつもより濃く、小ぶりで、手のひら... -
韓国精進料理とは?五観の偈とともに味わう、新潟の特別なダイニング体験
韓国の伝統的な禅文化から生まれた「精進料理(サチャルウムシク)」をご存じですか? 動物性食材を使わず、野菜本来の色・香り・食感を活かして仕上げるこの料理は、単なる食事を超えた“生き方”そのもの。新潟・長徳寺で開催された特別なダイニングでは、...