waktakの日々– category –
新潟発・韓国家庭料理教室「waktak」の日常を綴るブログ。
季節の食卓、母から受け継いだ味、レッスンの裏側、小さな気づきや想いを、物語のようにお届けします。
料理を通じて、誰かを思うやさしさが広がりますように。
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キムチは保存食ではなく、家庭の手紙だった
あなたにとってキムチとはどんな存在ですか? 食卓の定番、発酵食品、季節の味。 どれも正解だけれど、私にとってキムチは、母から届く“言葉のいらない手紙”のようなものでした。 寒くなる季節に、そっと心を温めてくれるその味を、今日はひとつの思い出と... -
遅めの唐辛子葉のナムル
― 季節のはざまに届いた、母からの手しごと ― 今年の唐辛子葉は、少し遅れて届きました。 例年なら、夏の終わりから初秋にかけて摘まれるはずの若葉たちが、今年は秋風が吹いてからようやくやってきたのです。 葉の色はいつもより濃く、小ぶりで、手のひら... -
韓国精進料理とは?五観の偈とともに味わう、新潟の特別なダイニング体験
韓国の伝統的な禅文化から生まれた「精進料理(サチャルウムシク)」をご存じですか? 動物性食材を使わず、野菜本来の色・香り・食感を活かして仕上げるこの料理は、単なる食事を超えた“生き方”そのもの。新潟・長徳寺で開催された特別なダイニングでは、... -
大豆と米が教えてくれる、命のつながり
― 発酵の台所に宿る、祈りのような手しごと ― 大豆から生まれた、豆腐と味噌。米から生まれた、味醂と酒粕。 この一文を頭の中で繰り返すと、なんだか心が静かになります。 食べ物が、ただの「栄養」ではなく、大地と人をつなぐ命の循環だということを思い... -
「いつか」の気持ちに、手を添えて
家族のための手打ち麺、カルグクスという答え 「いつか家族に、手作りの麺を打ってあげたい」 そんなふうに思ったのは、もう何年も前のことでした。 でも、「粉から打つなんて難しそう」とか、「時間があるときに」とか、いろんな言い訳をしているうちに、... -
忘れそうになった実家の味
旅の終わりに見つけた、母のソンマッ(손맛) 実家に帰るたびに「何食べたい?」と母が聞いてくれる。 けれど最近は「なんでもいいよ」と答えてしまうことが多くなった。 あれもこれも、もう何度も食べた味だから。 なのに、ふとある瞬間、それを“忘れそうに... -
鮑粥という、やさしいごちそう
家族の味に宿る、強さとぬくもり 韓国旅、姉がわざわざ息子のためにつくってくれていたひと皿。 それが、鮑粥(あわびがゆ)でした。 細かく切られた鮑が丁寧に火を入れられ、ご飯でとろみのある優しい出汁の中にすっかり馴染んでいました。 ひとくちすく... -
高菜キムチ、갓김치(カッキムチ)との対話
種を蒔くところからはじまった、手づくりの物語 韓国に行くと、毎回食卓に「謎の葉っぱのキムチ」がありました。 見た目は地味なのに、ひと口食べると驚くほど深い旨みと香り。 何度も何度も食べるうちに、このキムチの正体が気になって仕方がなくなりまし... -
なつめ茶の時間
― 季節の風と、ひとくちの甘さ ― 風が少し冷たくなってきて、窓を開けると肌にふれる空気が心地いい午後。 そんな日には、なつめ茶を淹れたくなります。 ポコポコと湯気が立ちのぼる鍋の中、乾燥したなつめが、ゆっくりとやわらかくなっていく。 やがてほ... -
薬飯を炊きたくなる季節
秋の恵みと、私を豊かにしてくれる食べもの 秋が深まると、畑の根菜たちが力強く育ってきます。 にんじん、大根、ごぼう、れんこん。 土の中で静かに育ってきた野菜たちが、ようやく地上に顔を出して、台所へやってきます。 そして同じように、木の実も豊...