この料理も母が作ってくれて印象的なものだ。
この料理が食卓に並ぶ時、母が食卓に座ることはない。
「出来立てが美味しいから」と、母は常にジャガイモチヂミを焼いているからだ。
ジャガイモチヂミの「わんこ」状態。
食べては出来立てが運ばれ、また食べては出来立てが運ばれ…。
最終的には、食べきれず母が勝つのだ。
このジャガイモチヂミは、「時間」を食べる料理だ。
作った瞬間はカリカリのチップスみたいな食感だが、
時間が経つにつれてベチャっとしてしまう。
母は、自分の時間を犠牲にして、家族に「自分の時間」を与えていたのだ。
「料理は愛情!」
とはよくいったものだ。
家族にご飯を食べさせたからと言って、見返りがあるわけではない。
それでも、家族の「美味しい顔」が見たいがために、母は自分の時間を犠牲にする。
私はまだ、その領域には達成できていない。
どうしても、「食べたい」が勝ってしまうのだ。
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